Copilot + PC vs MacBook Air、ローカルAI推論を実機ベンチマークで比較する
Copilot + PC(Dell XPS13)とApple MacBook Airは、どちらもモバイル用途で選ばれることの多い薄型ノートPCです。OSやハードウェアの違いで、ローカルAI推論の速度は実際どれくらい違うのか。手元にあるマシン2台で、Foundry Localを使って実機ベンチマークを取ってみました。
検証環境と方法
| 項目 | XPS13(Copilot + PC) | MacBook Air |
|---|---|---|
| OS | Windows 11 ARM64 | macOS(Darwin, arm64) |
| CPU | Qualcomm Snapdragon(ARMv8) | Apple Silicon M2 |
| RAM | 31.6 GB | 24.0 GB |
| モデル | phi-4-mini-reasoning | phi-4-mini-reasoning |
両機とも同じモデルエイリアスphi-4-mini-reasoningを使い、generic-gpu・generic-cpuのバリアントIDが一致していることを確認した上で比較しています。計測はgreedy decoding(temperature=0)で、ウォームアップ1回のあと5回実行した生成時間の平均を取り、tokens/secを算出しています(プロンプト・実行回数はコマンドライン引数で変更可能です)。モデルのロードは1回きりの処理として切り離し、生成時間のみを繰り返し計測しています。
前提として、この比較はローカルAIとの相性そのものというより、単純に「どちらのマシンがより高い生成速度を出せるか」を見るものです。その上で、今回使ったMacBook AirはXPS13より世代が古く、メモリ量も少ないマシンです。表のとおりチップはApple Siliconの中でも初期世代にあたるM2で、RAMも24.0GBとXPS13(31.6GB)より少なく、スペックだけを見ると一見不利そうな条件での比較になっています。
GPU実行結果
| 項目 | XPS13 | MacBook Air |
|---|---|---|
| ロード時間 | 4.19s | 5.70s |
| 生成時間(平均) | 5.96s ± 0.41s | 4.44s ± 0.01s |
| tokens/sec(平均) | 21.56 ± 1.44 | 28.82 ± 0.09 |
GPU実行では、MacBook Airが約1.34倍速いという結果になりました。
CPU実行結果
| 項目 | XPS13 | MacBook Air |
|---|---|---|
| ロード時間 | 7.45s | 2.92s |
| 生成時間(平均) | 6.89s ± 1.09s | 4.82s ± 0.02s |
| tokens/sec(平均) | 19.05 ± 3.82 | 26.53 ± 0.09 |
CPU実行でも、MacBook Airが約1.39倍速いという結果でした。興味深いのは、MacBook Air内でのCPU/GPUの差が小さい(26.53 vs 28.82 tokens/sec、約9%差)のに対し、XPS13内ではCPUがGPUよりはっきり遅く(19.05 vs 21.56 tokens/sec、約13%差)、しかもCPU実行の標準偏差(±3.82)が他のどの計測よりも大きく、実行ごとのばらつきが目立った点です(※いずれも遅い方の数値を基準にした差分です)。
ロード時間は方向が逆転していて、GPUバリアントのロードはXPS13の方が速い(4.19s vs 5.70s)一方、CPUバリアントのロードはMacBook Airの方が圧倒的に速い(2.92s vs 7.45s)という結果でした。ロードは1回きりのコストなので生成スループットの評価には影響しませんが、体感の起動速度としては覚えておく価値がありそうです。
NPUは今回計測できなかった
当初はNPU実行もあわせて比較する予定でしたが、FoundryのカタログにNPU(QNN)バリアントが見当たらず、計測できませんでした。Foundry Local自体は2026年4月にGA(一般提供)に達していますが、モデルカタログの配信はまだ安定していない部分があるのか、今回の計測ではNPUバリアントが見つからないという結果になりました。
XPS13(Snapdragon)側は、Hexagon NPUというハードウェア自体は搭載されているものの、結果には計測をスキップしています。一方MacBook Air側は、そもそもFoundry LocalのmacOS向けカタログに「NPU」という実行プロバイダーの区分自体が見当たりませんでした。Apple Neural Engineによる加速があったとしても、Foundry Localのカタログ上ではGPUバリアントに統合されている可能性があります。
つまり今回の比較は、あくまで「GPU実行パスどうし」「CPU実行パスどうし」の比較です。機会があれば、XPS13だけでもNPUの参考値として再計測してみたいと考えています。(Mac側には比較対象となる軸が存在しないため、純粋なNPUの参考値となります)
この結果をどう見るか
現状計測できたGPU・CPUの両方で、MacBook Airが1.3〜1.4倍程度上回るという結果になりました。今回のMacBook Airは世代が古くRAMも少なく、スペックだけ見ると一見不利そうな側だったことを踏まえると、この差は単純なハードウェア世代・スペックの差だけでは説明しきれません。ただし、これはあくまで1つのモデル・1つのプロンプトでの単純な計測です。「今回計測できたGPU・CPUの実行パスでは、この2台・このモデルにおいてMacBook Airが優勢だった」という限定的な結果として捉えるのが妥当です。
まとめ
Foundry Localを使ってCopilot + PC(XPS13)とMacBook AirでローカルAI推論のベンチマークを取ったところ、GPU・CPUいずれの実行パスでもMacBook Airが1.3〜1.4倍程度上回るという結果になりました。一方でNPU実行パスは、今回使用したモデルにNPUバリアントが見当たらなかったため計測できておらず、この結果だけで機種選定の結論を出すのは早計です。実機での計測はこうした前提条件の抜け漏れに気づきやすくなる一方、モデルやプロンプトを変えれば結果も変わりうる点には注意が必要です。