AIを活用して自動化を加速させる
AIは一見、何でもやってくれそうに見えます。しかし、AIに「◯◯作業を自動化して」とざっくり指示したところで、正しい自動化が出てくることはほとんどありません。それどころか、意図しない処理が実行され、データを壊してしまうといった失敗が起きる可能性もあります。
では、AIは業務自動化の役に立たないのでしょうか。そうではありません。AIをVBAやPythonと組み合わせて使うことで、自動化のプロセスそのものを大きく加速させることができます。
AIに「ソースコードを生成させる」という使い方
自動化に効くAIの使い方は、作業そのものを丸投げすることではなく、ソースコードを生成させること です。
コーディングの作業時間の多くは、「Pythonで〇〇の処理をする書き方は?」を調べることに費やされます。これはプログラミング未経験者だけでなく、プロのエンジニアであっても発生する作業です。この「調べる」部分をAIに任せることで、開発の生産性は大きく向上します(参考:ExcelVBAで「毎月の面倒な作業」を自動化する入門、Pythonで業務自動化を始める前に知っておくこと)。
例えば「複数シートの売上データを1枚に集計するVBAを書いて」「このCSVをこの条件で集計するPythonコードを書いて」といった具体的な指示をすれば、AIはすぐにコードを出力してくれます。ゼロから書く場合に比べて、圧倒的に短い時間でツールを手にすることができます。
成功の鍵は「AIの出力を読めるかどうか」
ここで自動化の成否を分けるのが、AIが出力したソースコードを読めるかどうか です。
AIは必ず正しいコードを出力するわけではありません。条件分岐の漏れ、想定外のデータ形式への対応漏れ、存在しない関数の使用など、誤りが含まれることがあります。出力されたコードをそのまま実行するのではなく、自分で処理の流れを確認し、意図した動作になっているかをチェックする必要があります。
特に、実データを書き換える・削除する・送信するといった処理は、誤動作した場合の影響が大きくなります。小規模なテストデータで動作を確認してから本番データに適用するという手順は、AIが書いたコードであっても省略すべきではありません(参考:業務自動化のリスクと安全なテスト方法)。
AIにコードレビューをさせるという、もう一つの使い方
一通り書き終えたソースコードを、AI自身に確認してもらうことも有効な使い方です。これは「コードレビュー」と呼ばれる工程に相当します。
「このコードに問題はないか」「もっと効率的な書き方はないか」「想定していない入力が来たときにどう動くか」といった観点でAIに確認させることで、自分では気づきにくい不備を発見できることがあります。AIに書かせて、AIにチェックさせる。この往復を行うことで、コードの精度はさらに高まります。
AIは「調べる時間」を短縮する道具
AIを業務自動化に活かすうえで大切なのは、AIに判断や実行をすべて委ねることではなく、自分が読んで判断できる範囲で、調べる時間を短縮する道具として使うこと です。AIが出力したコードの意味を理解できないまま実行に移すと、エラーが起きても自分では対処できず、結局は自動化の効果を活かせません。
VBAやPythonの基礎を理解したうえでAIを使えば、これまで「調べる」だけで終わっていた時間を、実際にコードを書き、動かし、改善するサイクルに変えることができます。AIは自動化を代行する存在ではなく、自動化のスピードを引き上げるパートナーとして活用するのが、現実的で効果の出る付き合い方です。