そもそもPM(プロジェクトマネージャー)は何をする人か?
システム開発や新しい業務フローの構築など、何らかの「プロジェクト」が動くとき、必ずといっていいほど登場するのが「PM(プロジェクトマネージャー)」という役割です。
しかし、IT業界以外の方からすると、「結局、具体的に何をしている人なの?」「ただ進捗を聞いて回っているだけではないの?」と疑問に思われることも少なくありません。結論から言えば、PMはプロジェクトにおける 「司令塔」 であり 「責任者」 です。
今回は、PMが果たすべき主要な役割について解説します。
ゴールの定義と管理(何を目指すのか)
プロジェクトには必ず「目的」があります。「売上を20%上げる」「手作業をゼロにする」など、そのプロジェクトが完了したときに、どのような状態になっていれば成功なのかを明確に定義します。
PMは、プロジェクトの途中で「あれもやりたい、これもやりたい」と目的がブレそうになったとき、「それは今回のゴールのために本当に必要か?」を判断し、軌道修正を行います。
ゴールの管理において重要なのが「スコープ管理」です。スコープとは、「今回のプロジェクトで何をやって、何をやらないか」の境界線のことです。スコープを曖昧なままにしておくと、開発途中で「ついでにこれもお願い」という要望が無限に増え、プロジェクトは予算と期限を突き抜けてしまいます。
リソースとスケジュールの最適化(いつ、誰がやるのか)
予算、期間、人員という限られた資源(リソース)をどう配分するかを考えます。
- 予算内に収まるか?
- 指定された納期に間に合うか?
- 特定の人に負荷が集中しすぎていないか?
これらを常にウォッチし、遅れが出そうな場合には「機能を一部削る」「人を増やす」「納期を調整する」といった対策を講じます。
スケジュール管理において、PMが最初に確認すべきことは「クリティカルパス」です。プロジェクト全体の期間を決めている最長のタスクの連なりを特定し、そこへのリソースを優先的に確保することが、納期遵守の第一歩です。
リスク管理(何が起きそうか)
プロジェクトにはトラブルがつきものです。「主要メンバーが退職する」「使おうとしていたツールに不具合が見つかる」「要件が途中で変わる」など、想定されるリスクをあらかじめ洗い出し、発生した際の影響を最小限に抑える準備をします。
「問題が起きてから対処する」のではなく、 「問題が起きる前に手を打つ、あるいは起きたときのプランBを持っておく」 のが優秀なPMの証です。
リスク管理では、全てのリスクを均等に扱う必要はありません。「発生確率 × 影響の大きさ」で優先度を付け、高いリスクから順に対策を検討します。リスクへの対応策は、①回避(そのリスクが起きないよう設計を変える)②軽減(影響を小さくする)③転嫁(保険や外注で対応する)④受容(起きたら対処する)の4種類に分類できます。
コミュニケーションのハブ(誰に何を伝えるか)
プロジェクトには、経営層、現場の社員、外部のシステム開発会社など、多くの関係者(ステークホルダー)が関わります。
それぞれの立場によって、求めているものや言語(専門用語など)は異なります。PMはこれらの中間に立ち、情報を翻訳して伝え、合意を形成していく役割を担います。
コミュニケーション管理で重要なのは、「誰に・何を・いつ・どの頻度で報告するか」を事前に設計しておくことです。経営層には月次の全体状況報告、ベンダーとは週次の詳細確認、現場とは随時の情報共有……というように、報告の設計を最初に決めることで、後の混乱を防げます。
リーダーとPMは何が違うのか?
「リーダー」と「PM」は混同されやすいですが、その性質は異なります。
| 項目 | リーダー | PM |
|---|---|---|
| 中心的な役割 | ビジョンを示し、人を惹きつける | 仕組みを設計し、プロジェクトを完遂させる |
| 重視するもの | 情緒的な結びつき、情熱 | 計画、数字、プロセス |
| 得意な状況 | 組織変革、モチベーション向上 | プロジェクト実行、リスクコントロール |
「リーダーが旗を振り、PMが道を作る」 と言ってもよいでしょう。どれだけ素晴らしいビジョン(目的地)があっても、道が整備されていなければ、一行は目的地にたどり着く前に力尽きてしまいます。
「管理」という言葉から、ただ監視するようなイメージを持たれがちですが、本質は 「プロジェクトを成功に導くためのあらゆる障害を取り除き、意思決定を行うこと」 にあります。